中国映画のニューウェイブを巻き起こした第五世代の先頭を走ったチャン・イーモウ監督
彼のデビュー作から代表的な3作品が今再びスクリーンに甦る!

監督デビュー作である『紅いコーリャン』が、第38回ベルリン国際映画祭グランプリを受賞したチャン・イーモウ。文化大革命後の1980年代に、北京電影学院を卒業した“第五世代”と呼ばれる映画人たちの一人として、“赤”を基調とした個性的な作品で世界を驚かせ、現代中国映画の礎を築いた一人として、中国映画を代表する巨匠となった。そんな彼の初期3作品が、デジタルリマスター化して令和の時代に甦る‼

紅いコーリャン

主演:コン・リー、チアン・ウェン、トン・ルーチュン、リウ・チー、チー・チュンホァ
製作:ウー・ティエンミン 原作:モー・イェン 撮影:クー・チャンウェイ 音楽:チャオ・チーピン
製作:1987年/中国/カラー/シネマスコープ/91分
日本初公開:1989年1月27日
© 1988, Xi'an Film Studio, All rights reserved

1920年代末の中国山東省の小さな村で、貧しい農家の娘である九児(コン・リー)は、家の経済的困窮を救うために、売られたかのような形で造り酒屋の李の元に嫁ぐことになった。嫁入りの途中、コーリャン畑で強盗に襲われるが、それを助けたのが余占鰲(チアン・ウェン)だった。嫁入り後再び実家に戻ることになった九児はあのコーリャン畑で余と再会し、二人は結ばれる。九児は嫁ぎ先に戻るものの夫は行方不明となっており、未亡人となった彼女は代わりに酒屋を切り盛りし、やがて余と結婚する。子供も生まれ、幸せな日々を送っていたが、やがてその村に日本軍が侵攻してきた…

菊豆 チュイトウ

主演:コン・リー、リー・パオティエン、リー・ウェイ、チャン・イー、チェン・チエン
製作総指揮:徳間康快 チョン・ウェンズー 原作・脚本:リウ・ホン 撮影:クー・チャンウェイ ヤン・ルン
製作:1990年/中国=日本/カラー/シネマスコープ/94分
日本初公開:1990年4月28日
© 1990, China Film Co-Production Corporation, Xi'an Film Studio, All rights reserved

1920年代の中国。染物屋の楊金山(リー・ウェイ)に金で買われて嫁いできた菊豆(コン・リー)は、子供が作れない金山の鬱憤に虐待されて死んだ前妻二人同様に、毎日のように彼から折檻を受けていた。楊の甥であり同居している楊天青(リー・パオティン)はその姿に同情していたが、彼女に思いを寄せ、それを知った菊豆はやがて彼と不倫関係に落ちる。天青の子を身ごもった菊豆は、生まれた息子に天白と名付け、金山の子として育てていく。ある時、金山は脳卒中で倒れ、身体が不自由になった彼に、菊豆は復讐するかのように、天白が金山の子でないことを打ち明けた…

紅夢

主演:コン・リー、ホー・ツァイフェイ、マー・チンウー、ツァオ・ツイフェン
製作総指揮:ホウ・シャオシェン 原作:スウ・トン 脚本:ニイ・ゼン 撮影:チャオ・フェイ
製作:1991年/中国=香港/カラー/シネマスコープ/125分
日本初公開:1992年4月11日
© 1991, China Film Co-Production Corporation, All rights reserved

1920年代の中国。父親を亡くし、貧しい生活を愚痴る義母から逃げるために、頌蓮(コン・リー)はすでに3人の夫人を持つその地の財産家である陣佐千(マー・チンウー)の元へ嫁ぐ。各夫人には1院から3院までの住居が与えられており、第4夫人となった頌蓮の4院には、主人の寵愛を受ける赤い提灯が飾り付けられていた。初夜の夜、第3夫人の梅珊(ホー・ツァイフェイ)に邪魔をされた頌蓮だったが、あらためて夫人たちに会うと、彼女たちは陣佐千に寵愛を受けるために生きているかのように見えた。そして愛憎渦巻く夫人たちとの関わりの中で事件は起こった。

1982年に北京電影学院を卒業後、チェン・カイコー監督の『黄色い大地』で撮影監督を務め、1986年ウー・ティエンミン監督の『古井戸』では主演男優を務めて、第2回東京国際映画祭で主演男優賞を受賞。1987年に映画監督デビューを飾った『紅いコーリャン』が第38回ベルリン国際映画祭でグランプリを受賞し、一躍中国映画を世界に注目させた。その後も女優のコン・リーとのコンビで『菊豆』『紅夢』『秋菊の物語』『活きる』など数々の作品を発表し、中国現代映画の礎を築いた。2008年夏と2018年冬の両オリンピックの開会式および閉会式の総監督を手掛けるなど、中国が世界に誇る映画監督の一人として活躍中。

チャン・イーモウ
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